第一子育児中のririです。
先日『デンマークの親は子どもを褒めない』という本を読んだのですが、これが予想以上に良かったので、本の内容、感想をメモしておきます。
参考になれば幸いです<(*_ _)>
そのほかの育児関連本の内容・感想はこちらにまとめていますので、よろしければご覧ください↓
本書を読んだきっかけ
リンク
育休中に育児関連の本を読んだのですが、よく「子どもをむやみに褒めないこと」というガイドを見ました。
理由としては、「子どもを褒めることで、褒められることを目的に物事に取り組むようになってしまうから」(本書では「外部統制型」という表現が出てきます)で、褒めるときはプロセスに注目して褒めるべし(シンプルな例で言うと、”すごい”ではなく”頑張ったね”の方が良い)と書いているのですが、意識していないと、子どもが何かした時についつい「すご〜い」と言っている自分がいるのに気づきました。
褒めすぎない分には問題ないと思いますが、意識していかないとなぁ、難しいなぁと思っていた矢先、公園でとある男の子に出会いました。
その子はジャングルジムを登っていたのですが、周りで遊んでいた娘と私に、
しきりに「ねぇ、こんな高いところまで登れたんだよ!すごい?すごい?」と聞いてきました。その時「褒めるばかりで伸ばすことの弊害はこういうことかもしれない」と感じたんです。
つまり、その男の子は「ジャングルジムを登ることを楽しんでいる」のではなく、「褒められることを目的にジャングルジムに登っている」ように見えたんです。(その男の子は知り合いではないですし、ほんの少しの時間しか一緒にいなかったので、たまたまそう言っただけ、という可能性も多いにあります。)
そこで、どうすれば子どもにもっと適切な声がけができるか、褒め方を学びたいと思って検索したところ『デンマークの親は子どもを褒めない』というまさにピッタリなタイトルが見つかった、というのが本書を読んだきっかけです。
概要
本書は、デンマーク人の夫を持つアメリカ人の母とデンマーク人の心理療法士によって書かれています。
デンマークが世界一幸福な国に選ばれ続けていることをきっかけに、その理由をリサーチしたところ2人は、デンマーク流の子育てがその理由の1つのではないか、という結論に至ります。(2017年以降は6年連続2位となっているようです)
そのため、本書は「褒める」ことに限らず、デンマークの親がどのように子育てをしているか?子育てのメソッドについて、そのポイントを6つのキーワード(頭文字を取ってPARENT)でまとめて紹介しています。(以下、本書を参考にririでまとめたもの↓)
原題の方が内容をよく表しています。
邦題は『デンマークの親は子どもを褒めない』ですが、
原題(英語)は、『The Danish Wαy of Parenging〜What the Happiest People in the World Know About Raising Confident, Capable Kids〜』
訳すと、『デンマーク流の子育て〜世界で最も幸せな人々が知っている、自信があり折れない子供の育て方』(Capable=能力ですが、本書の内容を読むと、才能ではなく、「折れない」とか「チャレンジ精神のある」が適切かと思い、そのように書いています。)となります。
本書の冒頭でも書いていますが、大切なのは「デンマークの子育てが素晴らしいからそれを真似しましょう。」ということではなく、デンマーク流のやり方を知ることで、自分の中の正しい子育てという前提を見直すきっかけにすることです。
ちなみに、本書のHPはこちらです↓
感想
言われてみればそうなのですが、まずこの本を読んで、改めて自分の中に社会・親から受け継いだ”正しい子育て”があることを意識しました。
もともと、本書を読むきっかけになった「褒めないことの大切さ」については3章:Authenticity ありのままを見るにも書いてありましたが、過剰に褒めないことで、成長意欲を伸ばすことができるのだと改めて感じましたね。ただ、まだまだ日常で咄嗟に褒めてしまうこともあるので、練習が必要だなと思いました。。。
自分に置き換えてみればわかりますが、子どもも「すごい!」褒められるのが嬉しいのではなく、「ありのままにしっかりとみていてくれたこと」の方が嬉しいんだと思いました。
デンマーク人の”現実的だが、ポジティブ”という姿勢もとても素敵だなと思います。子育ての本はいろいろ読んできたつもりですが、どうしても日本の価値観をベースにした本が多くなっていたので、積極的に他国で書かれた本も読んでみることが必要だなと思いました。
子育てしている方にはぜひオススメしたい1冊です!
内容のメモ
以下に各章のポイント、印象となったところをまとめます。
第1章:あなたの「初期設定」は本当に正しいか
・正しい子育てというものは文化によって異なり、社会的信条に基づいているからこそ常識・当たり前すぎて疑うことがない(初期設定されている)
・初期設定は親から引き継がれ、マザーボードのように私たちに植え付けられている
・そのため初期設定を見つめ直し、分析し、理解することが大切
第2章:Play 遊ぶ
・親はしばしば子どもに習い事をたくさんさせ、Play:自由遊びの時間を制限している
・しかし、自由遊びの時間を通して、子どもは不安を軽減するスキル、レジリエンス(逆境から立ち直る力)を習得することができる
・子どもがいつも外的評価を気にしている(外部統制型)と、内側から湧き上がる意欲(統制の所在 locus of control、内部統制型)を育むことができなくなる
・外部統制型の子どもは人生は外的要因に左右され自分でコントロールするのが難しいと考える。不安感や鬱症状が出やすい
・年々、外的統制型の子どもが増えている
・ロシアの心理学者レフ・ヴィゴッキーが提唱した、「最近説発達領域」に基づき、デンマークでは必要な時以外親は子どもに手を貸さない。子どもに適度な「自由」を与え、子どもが自分でできると信じ、ある程度の距離を置いて子どもに接する
・親は活動を無理強いしたり、先取りするのが子どものためだと思いがちだが、強制されたり、リスクが高すぎる課題を与えられると外的統制型の傾向が強くなる
・子どもは鉄棒にぶら下がったり、高いところから飛び降りることで、危険な状況、自分が扱える量のストレスを試している
第3章 Authenticity ありのままを見る
・デンマーク出身の作家、アンデルセンの物語は、おとぎ話らしい結末ではない。物語の解釈や感想を読者に委ねている。ありのままを見ることが共感力をうみ、人生を尊重する気持ちを深め、日常生活への感謝を生む
・子どもに必要なのは、自分の感情に素直になれる親。大切なのは、親自身が自分の感情に正直になる手本を子どもに見せること
・デンマーク人は「ありのまま」に褒める。プロセスに注目して褒めることで、子どもに謙虚さを学ばせることもできる
・才能(あたなは賢い、才能がある)を褒められた子どもは「硬直的マインドセット」(能力は生まれつきで変わらない)が育つ。一方で能力は努力と教育で伸びると教えられた子どもは「成長マインドセット」が育つ
・同じ課題を与え、「こんなに難しい問題を解くなんて、きみは頭がいいね」と褒めたグループ(A)と「こんなに難しい問題を解くなんて、一生懸命頑張ったね」と褒めたグループ(B)では、Aは難易度が低い問題を選ぶ傾向(確実に点を取りたいためと推測される)や、問題につまづいた途端自信を失ってしまった。また、匿名でスコアを報告させたところ、スコアを水増しして報告することもあった
第4章:Refraiming 視点を変える
・多くの人は物の見方を無意識に選んでいることに気づいていない
・見方を変える「リフレーミング」することで幸福度は確実に変わる
・デンマーク人はネガティブな出来事を無かったことにはしない。現実を認めつつ、できるだけポジティブな側面から焦点を当てる
・リフレーミングに直接関わるのが口にだす言葉と頭の中の言葉
・親から決めつけを受ける子どもはその言葉に合わせるようになる
・デンマーク人は「XXすべき、すべきでない」という代わりにそうなった理由を子どもに尋ねる。子どもがうまく自分の感情を表現できるようにサポートする
・他人に対しても良い面に注目して、行動を人から切り離す
・もう一つのリフレーミングの方法はユーモアを使うこと。ユーモアをまじえて事実をリフレーミングすることで子どものプラスの感情を引き出す
第5章:Emphathy 共感力
・親は、子どもの共感力の手本になる責任がある
・デンマークでは子どもたちが共感力を向上するためのプログラムがある
・デンマークの親は、よその子の良い面を指摘する傾向が強い。親がそうすることで、子どもも当たり前のように他者の良い面を見るようになる
第6章:No Ultimatums 叩かない
・子どもを叩くと自尊心が損なわれる
・デンマークでは魔の2歳児を「境界を押し広げている」とみなす
・恐怖による支配は敬意が育たなくなる
・本当に重要なこととそうでないことを見極め、全ての戦いに勝とうとしない
・子どもには必ず「やりたくない」「食べたくない」「着たくない」「言いたくない」時期が存在するが、いつかはそれを卒業する
第7章:仲間と心地よく過ごす Togetherness and Hygge
・ヒュゲ(共に心地よく過ごす)がデンマーク人の美徳
・デンマークでは、幼少の頃から共同作業に勤しむ
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