昨年から会社で面接官を担当することになり、
ケース問題
を出す側になったので、改めて読んでみました。
はじめに
まず「はじめに」を読んですごく頷いてしまいました。
周囲の学生を見て気付いたのは、「座学」と「実践」には励むものの、「素振り」を日常的にこなしている人は少ないということです。日ごろから本を読んでロジカルシンキングを学び(「座学」)、選考やインターン(「実践」)を繰り返しているものの、その間を結ぶ知識の「素振り」としてのケーススタディの訓練はどうも軽視されているようなのです。
私が面接を担当する方も、フレームワークとケース問題の解き方のステップは知っていて、
なんとなくいくつかのフレームワークと流れに沿ってケースを解くものの、
1つ1つのステップの間のロジックが飛んでいて、
なぜか最後はアイデアベースみたいになってしまっていることが多いんですよね^^;
おそらくこの本を読んだり、フレームワークを学んだりして、
知識(本書では「剣」に例えられていますが)は頭に入れたものの、
それをどう使うか(どう剣を振るうか?)は練習しないまま実践の場に来たんだろうなぁと思いました。
第1章:問題解決ケースの3ジャンル
まず第1章では、
そもそも「問題解決ケースとは何か?」「どんなジャンルに分かれるのか?」が解説されています。
まず問題解決ケースとは以下のように定義されています。
「与えられた状況に対し、前提を設定し、知っている知識だけをもとに合理的な仮定とロジックを駆使して、構造化して分析し、打ち手を提案する短時間のシュミレーション」のことを指します。
そして問題解決ケースは、目的別に以下の3つに分けることができます。
- 集団ケース
- Privateケース
- Publicケース
- 個人ケース
ただ、ポイントはどのケースでも同じ問題解決手法を使って解くことができるということ。
ここに汎用性の高い方法を学ぶ意義があります。
第2章:問題解決ケースの5ステップ
第2章では問題解決ケースの基本的な5ステップを
「東京の朝の通勤ラッシュを軽減するには」
という例をとって解説しています。
私も勉強のために以下にまとめてみたいと思います。
i.前提確認
まず最初は曖昧なケース問題を以下に注意しながら明確にします。
- 言葉の定義
- クライアントの特定
- 目標の具体化(エリア、タイムスパン、目標増加率)
ii.現状分析
次にフレームワークを駆使して、「地図化」(鳥瞰図)を描き、
問題がどこにあるかを確認します。
ここでフレームワークが重要なのは、この「地図」を短時間で作れるからです。
iii.ボトルネック特定
抽出した問題の中から、それらに対する代表的な打ち手をイメージして、
真のボトルネックを特定します。
特定方法は、問題に対するImpactとFeasibilityを意識した時に意味のある打ち手を考えられるかで絞っていきます。
仮に、東京の朝の通勤ラッシュを
「需要」ー「供給」を目標とした場合、
ここまでの構造をまとめてみます。
vi.打ち手立案
ここまででボトルネックが特定できたら、打ち手を立案します。
(上記の図の太字部分)
本書では、
ここでも本来は「地図」を作るべきだが、
制限時間が迫っていれば妥当と思われる打ち手を考えるのも1つの手
と紹介されています。
vi.打ち手評価
最後に考えた打ち手を
- Impact(効果)
- Feasibility(コスト・リスク)
- Time-Span
で評価し、優先順位順に説明します。
つまり効果が大きく、実効性が高く、短期間でできるものから優先的に説明します。
第3章以降
第3章では実際の面接を模したロールプレイが掲載されています。
その後、Part2では9つのケース問題が、
末尾には50のフレームワークと問題解決ケースが210が紹介されています。
これらの問題解決ケースを紹介されているフレームワークを使って解いてみれば、
面接の対策としては十分なのではないかと感じました。
まとめ
「はじめに」で本書はビジネスパーソンにも勧められていますが、
私も同感で、問題解決に少しでも関わるビジネスパーソンにはおすすめだと思います。
よく後輩に「ロジカルシンキングは自分含め日々スキルを磨かないと鍛えられない」
と話すのですが、フレームを知っているからといって、
適切な場面で適切なフレームを選んで、
正しく使えるかは日々の鍛錬が必要だと思います。
コンサルファームを受ける学生だけではなく、
社会人にもおすすめの1冊です。
参考書籍
本書で参考書籍として紹介されていた本。
私ももう一度目を通してみようと思います。